特別企画:SFセミナー版「これがSFだ! 2004


昨年発表された「本」の形態をとった作品(小説、マンガ、評論など)のうち、自分が「SFとして一番おもしろかった」「これはぜひみんなに読んでもらいたい!」と思った作品をひとつだけ挙げてもらうアンケート企画です。

 「これは!」と思う作品を挙げた方、おもしろいコメントを寄せてくれた方の中から、抽選で記念品を差し上げます。

 ちなみにアンケート企画ですので、投票数が多かった作品に対する表彰などはありません。あらかじめご了承下さい。

 事前予約をされた方とネットで参加登録をされた方は、こちらから投票ください。もしくは、当日会場にて記入いただいても構いません。
 当日参加の方は会場にてご記入いただけます。

 では以下に、スタッフの「これがSFだ!」を挙げておきます(提出順)。



しあわせの理由』 グレッグ・イーガン、早川書房、2003/7
コメント:
 (昔の『パーマン』の主題歌で)
怪しい理屈をふりかざし 来たぞぼくらのイーガンが
未訳は91作だい 万物理論も忘れるな
(鈴木力)

あなたの人生の物語』 テッド・チャン、早川書房、2003/9
コメント:
 チャンの本をよんで、ぼくはすっかり、こうふんしてしまいました。だから、みん
なにもよんでほしいんだな。そうおもって、原稿をかきました。これは、『SFが読みたい! 2004年版』の特集のための、紹介文です。
  *   *
 早くも「二十一世紀SFの旗手」の呼び声が高いテッド・チャンの第一短篇集。ここに収められた八篇が、一九九〇年のデビューから現在までに発表した全作品である。なんという寡作。各作品のレベルの高さを思えば、それもむべなるかな。チャンは衝撃的なアイデアを起点として認識の変容を描く(この点はイーガンに似ている)。それが読者の常識や視点さえも揺さぶるのは、卓越した語りがあればこそだ。たとえば表題作は、エイリアンの言葉を学ぶなかで異質な世界認識を得た女性言語学者が、その経緯を“既知の未来”にむけて語りかける。
  *   *
 すんなりかけたので、すごくいい気分でした。それで原稿をおくったら、清水さんがでんわしてきたんだな。清水さんはハヤカワの編集のひとです。「ええと。まきさんにはテッド・チャンたのんでいませんでしたよねえ?」 わあ! びっくりして依頼状をみると、清水さんのいったとおりでした。おかしいなあ。そんなはずはないんだけどな。ぼくはたしかに。……うーん、「認識の変容」ってコワいんだな。(牧

しあわせの理由』より「適切な愛」 グレッグ・イーガン、早川書房、2003/7
コメント:
 子どもが二人います、二度の妊娠出産を経験した訳です。あの約10ヶ月の間の幸せな気分は経験者にしか判らないと思うし、話しても未経験者は理解できないと思います。

 でもどんなだろう?もしダンナが事故にあってその身体が回復するまでその脳を妊娠しなくてはならなくなったら・・・。子どもたちためならまず躊躇することはないだろう、確信できる。でもダンナのためといわれたら即決できるだろうか?よく妻に母を求める人がいると聞くが、私は夫を子どもにしたいとは思わない。

 そのとき、私はどうするのだろう?(立花眞奈美)


しあわせの理由』 グレッグ・イーガン、早川書房、2003/7
コメント:
 短篇集で、こんなに印象的かつ何度も読んだのは、きっとディックさん(勿論!フィリップ・K・ディックのことよ)の作品以外になかったでしょう。作品を創作する上でのいろんな試みもきっとあるのでしょうが私にとっては、なんとなくしかわからなかった話(「闇の中へ」など)から、表題作「しあわせの理由」のような哲学的に語れるものまで、さっくりと読ませてくれるこの1冊こそが、間違いなく昨年のベスト1です!(牧

 

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